ひとつ、屋根の下で


「顔、真っ赤。すご」


「う、うううるさいなぁ!凌が急に変なこと言うからでしょ!?」



ドキドキしてるのが恥ずかしくて、サッと顔を背けた。


……もしかして、からかわれた?


ヒドイ!



「嘘は吐かないって言ったじゃん!凌のバカ!!」


「は?俺がいつ嘘吐いたって言うんだよ。いきなりキレんな」



凌の顔は見られないまま言うと、不機嫌そうな声で返事が返ってきた。




「だ、だって!凌、前は可愛いなんて人前で言ったりしなかったもん」



からかって楽しんでるとしか思えない。



「嘘なんか吐いてないだろ。……可愛いよ、沙波」


「かわいいの安売りはやめてください!」


「じゃあなんて言えばいいんだよ。

……お前が元気になるなら、恥ずかしくたっていくらでも言うよ」



そう言った凌の声に、恥ずかしくて膝の上のウサギに向けていた視線を、思わず上に向けていた。


「……っ」

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