ひとつ、屋根の下で
「沙波、それ、クセ?」
恥ずかしさを誤魔化すように苦笑して、凌は伸ばされた私の掌に自分のそれを重ねた。
「大丈夫だって。俺、お前の手が届かないとこにはいかないから」
キュッ、とまるで私を安心させるように指と指を絡めた掌に力を込めた凌。
「……ホント?」
掠れた声。
周りの喧騒に溶けて消えてしまいそうな私の言葉に、凌はやわらかく微笑んだ。
「言っただろ。……嘘はつかないって」
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