ひとつ、屋根の下で
いつも凌と一緒に学校から帰ってくるけど、今日は凌が委員会があるとかで私より帰りが遅くなるらしい。
6コマ目の授業を受けている最中に届いたメールには、「遅くなるから先に帰ってて」と書いてあった。
そもそも、「一緒に帰ろう」という約束があったわけじゃない。
先輩や千依と色々あって落ち込んでいる私を心配した凌が、私の教室まで迎えに来てくれていただけ。
本当は待っていたかったけれど、そう返すのもなんだか恥ずかしくて、私は大人しく「わかった」と返した。
……というわけで、只今ひとり寂しく下校中です。
前まではこれが普通だったはずなのに、最近はずっと凌とふたりで帰っていたせいか、いつもと同じ道のりがすごく長く感じた。
冬に近づいた秋の風が、冷たく私の肌を撫でていく。
「……?」
ふと、いつか感じたものと同じ違和感を覚え、無意識のうちに背後を振りかえる。
けれど、閑静な住宅街に伸びたまっすぐな道路に、私以外の気配は感じられなかった。
「……」