ひとつ、屋根の下で
「……許せないけど、やっぱり嫌いにはなれないの。……だから、無理してる沙波を見てるのがつらかった。沙波が教室でみんなと笑ってても、私には泣いてるみたいに見えて。沙波をこんなに苦しめてるのは自分なんだって思ったら、本当に、苦しかった」
そう言った千依の表情も、苦しげだった。
そんなふうに千依には見えていたんだ。
悲しいのもつらいのも、上手く隠せている気がしていたけれど、全然ダメだったんだね。
何も悪くない千依にこんなにつらい思いをさせて、私はどこまで最低なんだろう。
「……千依、ごめんね」
もう、私なんか消えてなくなればいいのに。
大切な親友を自分のわがままでこんなに苦しめて。
必死に悲しみがバレないように取り繕っていたけれど、それすら千依を追い詰めるなら、私はきっと存在しない方がいいんだ。
千依は、もう二度と先輩と会わないで、って言ったけれど、私はきっと千依の前にもいる資格なんてないんだ。