ひとつ、屋根の下で
こんなに人を好きになったのは、初めてだった。
胸が熱くなる想いも、
温もりの溢れる優しいキスも、
言葉より確かに「好き」を伝えてくれたハグも。
全部、先輩が初めてだった。
決して正しい恋ではなかったけれど。
そしてきっともう二度と、この人に恋をすることはないけれど、たくさんの初めてをくれた先輩が、私は本当に好きだった。
「これからは、誰かが入る隙もないくらい、千依のことだけを愛してあげて下さい」
「……うん」