ひとつ、屋根の下で
先輩。
たくさんの愛をありがとう。
それが私だけのものじゃなくても、
耐えられないほどの痛みを伴っていても、
それでも私はやっぱり、幸せでした。
「沙波……、ありがとう」
震える声に振り返れば、涙を浮かべたままの千依が、ふわりと微笑んでくれた。
……やっと、終わった。
やっと、断ち切れたよ。
千依に微笑み返して、私は心がスッと軽くなったのを感じた。
今まで重い罪悪感で縛り付けられていた心が、解放されたのだと思った。
私は、やっと。
やっと、先輩への恋にさよならを言えたんだ────。