ひとつ、屋根の下で
でも、私はもう充分傷付いた。
きっとこれ以上傷付いたら、本当に壊れてしまうから。
傷付くことに慣れちゃダメなんだ。
強くいなきゃ、ダメなんだ。
だから、凌が私を大切に想ってくれてる、その事実だけで、私はきっと北岡さんから受けた傷は乗り越えていかなくちゃいけないの。
そうしないと、また弱っていた私に逆戻りだから。
そんなの、傷付いた私を好きな北岡さんの思う壺だから。
「……私、大丈夫だよ」
涙をぬぐって、そう言った。
「……もう二度と私のことを撮るな、なんて言えません。……これからも今まで通り私のこと、撮ってください。
……あなたが好きな落ち込んで傷付いた顔なんて、絶対に撮らせませんから。
いつだってとびきりの笑顔を向けますから。
……あなたにじゃなく、カメラの向こうで、こんな弱い私の笑顔でも好きだと言ってくれる方たちのために。
私はこれからもこの世界で生きていきたいから、こんなところであなたに負けたりしない」