ひとつ、屋根の下で
「……これ」
表紙は、いかにも少年漫画っていう、バトル漫画の主人公。
……これもしかして、凌が本誌に載るきっかけになったっていう恋愛漫画が掲載されたもの……?
表紙をよく見てみれば、たくさん並んだ名前の中に凌のペンネームがある。
ペラ、とページをめくった。
パラパラと親指で滑らせてページを進めていくと、凌の漫画に辿りつく。
もう名前を確認しなくたって、画風だけで凌が書いたんだって分かるくらい、凌の絵に慣れていた。
毎日のように目にしていれば、嫌でも馴染む。
……凌の絵、好きだ。
繊細で、温かみのある絵。
「……思った以上にガッツリ恋愛もの……」
儚げな表紙も、一目で恋愛ものだと分かるタイトルも、少年漫画が集まるその冊子の中では浮いていた。
今凌が書いているような、ラブコメですらない。
表紙だけで分かる。
……これ、泣けちゃうやつだ。