ひとつ、屋根の下で
「……ふざけんなはこっちなんだけど。
色々考えすぎてうじうじしてるコイツもコイツだけど、あんただってよっぽど言葉足らずだよ」
「……は?」
凌は、瀬野くんの言葉の意味をはかりかねたようだった。
……もしかしなくても。
瀬野くん、凌がここに来るの、見えてた?
車の中の明かりをつけっぱなしにしていたことに、今更気付く。
こんなの、見つけてくれと言っているようなものだ。
「……瀬野くん」
「よかったね、迎えがきたよ。早く仲直りしな。
あんたら、すれ違いすぎ。見ててイタイから早くくっつきなよ」
「!?」
く、くっつくって……!!
凌がいる前でそんなこと言わないで……!
そう思ってあわあわした私だけど、凌はキツイ顔で瀬野くんを睨んでいた。
「し、凌、さっきのはなんでもないの。私、瀬野くんに何もされてないよ」
「……お前、沙波のこと好きなの?」
「!?」
瀬野くんに向けられた凌の言葉に、私は驚きすぎて声が出なかった。
凌、さっきのキス未遂を本気にしてるの!?
あんなの、瀬野くんは絶対本気じゃなかったのに!