ひとつ、屋根の下で
『────一生分の、恋をした。
もう二度と、こんなにも人を愛することなんてできないと思うほどに、僕の全てを捧げた恋だった。
きっと、何度でもキミのことを思い出すよ。
何度でも、キミを想って泣くだろう。
キミは、僕にとっての全てだった。
キミは、僕にとっての生きる意味だった。
奈緒。
愛してる────』
凌の漫画の最後のシーンがふと脳裏をよぎり、泣きたくなった。
俯いた私に、一瞬の沈黙の後、凌がガタンと立ち上がった。
そのいきなりの行動にびっくりして、顔を上げる。
凌は、眉をひそめた変な顔をしていた。
……変だよ。
必死なくらい、焦ったような顔に見えるなんて。