ひとつ、屋根の下で
「え、じゃあ誰の……」
「……女の方の名前見て、気付かなかった?」
凌がなんだか言い辛そうに言うから、どうしてだろうと思ったけど、ぱちぱちと何度か瞬きをして思考を巡らせて、ようやく。
『奈緒』
その名前を思い出す。
……え、まさか!
「え、えっ!?もももしかして、ナオちゃん!?」
「……」
「えっ!?で、でも、ナオちゃん生きてるし……」
漫画の中の少女は、死んでしまったんじゃないの?
風邪すらひかなそうなくらい、ナオちゃんは元気いっぱいなのに。
「……実際とは男と女、逆だから。つーか、どっちも死んでないから」
「逆っ!?」
信じられない言葉に、素っ頓狂な声を上げ続ける私。