ひとつ、屋根の下で
────ギブアンドテイク。
ふと、瀬野くんの言葉が脳裏によみがえった。
────もらったものに、少しでも返そうと思いなよ。
……うん。
やっとその意味、わかったよ。
「……凌。私、このままじゃダメだね」
凌の傍にいるためには、一度この手を離さなきゃダメだね。
いつまでも凌にもらってるだけじゃ、ダメだね。
今だけじゃないの。
凌のそばに、ずっといたいの。
だから。
「ちゃんと自分の足で、凌に寄り掛からなくても歩けるようになったら」
そしたら。
……そしたら、好きって。
大好きだよって、言わせて────。