ひとつ、屋根の下で


────ギブアンドテイク。


ふと、瀬野くんの言葉が脳裏によみがえった。




────もらったものに、少しでも返そうと思いなよ。



……うん。


やっとその意味、わかったよ。




「……凌。私、このままじゃダメだね」



凌の傍にいるためには、一度この手を離さなきゃダメだね。


いつまでも凌にもらってるだけじゃ、ダメだね。




今だけじゃないの。


凌のそばに、ずっといたいの。


だから。



「ちゃんと自分の足で、凌に寄り掛からなくても歩けるようになったら」


そしたら。


……そしたら、好きって。



大好きだよって、言わせて────。




< 352 / 377 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop