ひとつ、屋根の下で


……凌の手を離そうと決めた、12月。


あれから、4ヵ月の日々が過ぎた。


凌は、熱を出した2日後にはすっかり元気を取り戻していて。



『しばらく、漫画の手伝いはできない』



元気になった凌に、私はそう言った。



はじめは難しい顔をして、納得してくれなかったけれど、

これからは落ちることを恐れないでオーディションもちゃんと受けたいから、演技とかモデルとか、もう一度いちから勉強したい、

そう言ったら、凌は驚いた顔をして、渋々頷く、どころか。


ふわりと笑って、頑張れよと背中を押してくれたんだ。



凌の、その微笑みが。


その、力強い言葉が。


私に、凌の温かい手を離す勇気をくれたんだ。


< 355 / 377 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop