ひとつ、屋根の下で
私、今なら告白してもいいかな。
今の私ならきっと、凌に受け入れてもらえなくてどんなに落ち込んで苦しんでも、きっと仕事での私とは割り切っていけると思うんだ。
言おう。
好きだと、伝えよう。
凌のハグがなくたって、私の凌に対する好きの気持ちが萎むことはなくて。
むしろ、大きくなるばかりで。
きっとこれからも、この気持ちは変わらないと思うから。
私は自分の部屋に持っていたバッグを置いてから、意を決して凌の部屋のドアをノックした。
「凌?」
ノックをしても返事がないことに戸惑いながらもドアを開けると、ケータイの画面を見て固まっている凌がいた。
一拍置いて、私を見る。
「どうしたの?」
「……沙波、映画、決まったの?」
「え」
「今なんとなくネットのニュース見てたら……、沙波の名前が出てきたからすげーびっくりしたんだけど……」
ああ。
そういえば、今日が正式に出演が決まった映画のキャストが発表される日だ。
有名な小説が原作の作品だから、それなりに注目されている。