ひとつ、屋根の下で
「……うん。この前受けたオーディション、合格したんだ」
パタン、とドアを閉めて、ベッドに座る凌の前に立った。
ケータイから顔を上げた凌が、ふわりと微笑んだ。
「……おめでとう、沙波」
……深い、深い優しい声。
それは、私の心に大きく響いた。
「ありがとう……」
凌のおかげだよ。
凌がいてくれたから、頑張れたんだよ。
そんな気持ちを込めて、笑顔を浮かべた。
「……沙波、変わったな」
「え?」
訊き返すと、凌は目元を柔らかく細めて、優しく笑う。