ひとつ、屋根の下で
「凌……、これ」
漫画から顔を上げる。
すると、最後まで読んだのを悟って凌が私の手から紙の束を受け取り、それをベッドの上に置くと、すぐに私に視線を戻してきた。
「……言いたいことがあるんだ」
漫画通りのセリフを言われ、急にドクンと心臓が鳴る。
「……俺」
「待って!!」
思わず、叫んでいた。
ぐっと凌の手を掴んで、まっすぐに凌の目を見上げる。
「……私も、言いたいことがあるの」
「……沙波?」
「白いページはまだ未完成の今だよね。
だったら、私に言わせて。……私から、伝えたいの」
あの漫画を読んだら、凌の気持ちが、凌の優しさが同情だったなんて、嘘でも言えなかった。
凌が今まで私のことをずっと支えてくれたのは私と同じ気持ちでいてくれているからだって、痛いくらい、伝わってきた。