ひとつ、屋根の下で
言い終わった瞬間、グイッと腕を掴まれて。
「し、凌」
強く、抱きしめられていた。
久しぶりに感じる凌の温もり。
ずっと欲しかった温かさに、心が熱くなって。
ぶわっと涙があふれた。
凌の背中に手を回して抱きしめ返せば、また強い力で抱きしめられて、余計に涙が止まらなくなる。
「……好き。好きだよ、凌。……凌がいてくれたから、私、頑張れたの」
「……沙波」
呟くように私の名前を呼んだ凌の声が今まで聞いたことがないくらい熱っぽく耳に届く。
ギュッ、と胸が痛いくらいに音をたてた。
「沙波」
何度も何度も名前を呼ばれてその度にドキドキと鼓動は速度を増す。