ひとつ、屋根の下で
「……それは読んでのお楽しみってことで」
「え」
まだいくつか読んでいないものがあったけど、高槻くんは私の手から残りの紙を取り上げて、唇の端を上げた。
……なんか怖い笑顔。
何か企んでる……?
「それに決めた。俺もそれ結構気に入ってんだよ」
「恋愛もの嫌いなんじゃないの?」
「別に嫌いじゃねーよ。よくわかんないだけで。……じゃ、始めるか」
そう言って高槻くんは、ベッドに腰かけていた私の手を取り、ニヤリと笑う。
嫌な予感に、ぞわっ、と悪寒が走った。
「は、始めるって、なにを……」
────もう題材が決まったんだから私はお役御免なんじゃないの?
そう思いながら、私はおそるおそる訊いてみた。