ひとつ、屋根の下で
私の喉がゴクリと鳴った。
こんなふうに、自分の演技を誰かが必要としてくれるなんて初めてだったから。
一度目を閉じた。
さっきの凌くんの言葉。
……自然に振る舞えばいい。
うん。
いける。
きっと大丈夫。
私は目を開けて、一度まっすぐに凌くんを見上げた。
だけど、恥ずかしくてすぐに俯く。
だって、こんなカッコいいんだもん。
こんな優しい目で見つめられて、視線を返せるわけないよ。
「なんで下見てんの?」
「……は、恥ずかしいんだもん」
上ずった声でそう言って頑なに顔を上げる事を拒んだら、不意に凌くんが黙ってしまった。
「……?」
どうしたんだろう、と顔を上げれば、心なしか頬を朱に染めたような凌くんがいた。