ひとつ、屋根の下で
「あ、の……?」
首を小さく傾げて、眉尻を下げて。
囁きとすらとれる微かな声を掛けると、凌くんはハッとしたようにびくりといちど身体を揺らした。
「わ、悪い。……もういい。希美、おわり」
「え、もう!?」
まだ二言しか喋ってないよ!?
「……やばい、お前の希美やばい。こんなん現実にいたら大変なことになるとこだった」
「……何言ってるの?」
頭を抱えてなにやらブツブツ言ってる凌くん。
よく聞き取れないけど、私の演技、気に入ってもらえなかったのかな……。
自分なりに希美らしく振る舞ってみたんだけど……。
作者に受け入れてもらえないんじゃ、読者の人たちに気に入ってもらうなんて無理だよね。
やっぱり私じゃ力不足だったんだ……。
なんてマイナス思考に陥って思わずため息を零しそうになった私。