ひとつ、屋根の下で

だけど、不意に私の方に視線を滑らせた凌くんは、思ってもみなかったような言葉をくれた。



「思った以上にすごい威力でびびった」


「……威力?」


「おまえの演技!」



凌くんの言葉に、私はぽかんと、笑えるくらい間抜けな表情を浮かべていたことだろう。


それくらい、意外すぎる感想だった。



「とりあえず希美のイメージはほぼ固まったから、次いくぞ!」


「え、ええ?」


「これかぶって」



渡された長い髪のウィッグを受け取って、私は目をぱちくりとさせたまま、凌くんを見つめていた。


「ん?何?
……あ、いやそれは資料用だからな!?別に俺がかぶってるわけじゃないから!」


私の視線をどう受け取ったのか慌ててそう言った凌くん。


何も言わない私に、ウィッグを奪い取ると無理やりバサッと私の頭にそれをかぶせてきた。


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