ひとつ、屋根の下で
視界に飛び込んできたのが、ものすごく綺麗な顔をした男子生徒だったから。
整い過ぎて怖いとさえ感じて、思わず息を呑んでしまうほど。
アイドルや涼し気な美男子、という生きたものに例えるより、まるで、芸術品と言った方が近い気がする。
どこまでも黒く澄んだ瞳とサラサラの長めの黒髪、綺麗に通っている鼻筋。
こんなに綺麗な顔をした人を、私は見たことがなかった。
「…………」
ん?
ぼうっと見惚れてしまっていた私は、しばらくしてハッと我に返る。
この人さっき、まだいた、って言った……?
「もしかして、さっきの物音……」
「あー、見てねぇから!
学園の王子が彼女じゃない子とキスしてるところなんて」
「…………」