ひとつ、屋根の下で
「なんで言ってくれなかったの?もう1か月もあんなイケメンくんと一緒に住んでるなんて…!羨ましすぎるよ!」
私の頭から手を退け、地団太踏みそうな勢いで悔しがってる千依に、私はため息を吐いた。
「……たぶん思ってるのと全然違うから、ヤツは」
────ヤツ、もとい凌は。
一見、どこか人を寄せ付けないようなクールなオーラを出していて。
たぶんそれは綺麗すぎる外見のせいだと思うけど。
……でも、クール、なんて言葉あいつには縁遠い。
1日目の最悪すぎる出会いからはじまり。
仕事のためとか言ってハグしてくるし、あきらかに仕事に関係ないときもべたべたしてくる。
ハグ以上のスキンシップは全力で回避してるけど……。
「沙波ー」
「!?」