夜のゆめで

僕は、

気がつくと、桜が葉桜になっていた。

僕は満開の桜より葉桜のほうが好きだ。
きっと、何者にも定まりたくない。

「燐矢?」
振り向くと、浩輔が立っている。
「あ、浩輔」
「なんで先帰っちまうんだよ。せっかく同じクラスになれたのに」
「別に関係ないだろ」

2年になった。

去年俺たちが、校門の桜を見たときよりも今は落ち着いて見られる。
なにを俺たちは期待していたんだろう。

「途中コンビニよろうぜ。肉まん、まだ売ってるかな」
「どうかな」

考えると1年は短かった。
何もせず、1年が過ぎた。

けれど後悔も何もない。

そしてまた1年過ぎてゆくのだろう。
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