流れ星デイズ
海辺の睦物語
なんだか、すべてが夢だったみたい。
ライブの片づけが終わったあと、興奮冷めやらぬ中、打ち上げと称して民宿前の海岸で花火大会が始まった。
綾乃、雄樹さん、ヤマトさんに、ライブハウスで顔馴染みのスタッフも加わって、みんな疲れ知らずのはしゃぎっぷり。
私と圭吾さんは、民宿の裏口の階段に座って、遠くでキラキラしてる花火を眺めている。
ショウさんは、トワさんやミュージシャン仲間の人達と民宿の中でお酒を飲んでるみたい。
腰かけられそうな三日月に、ほろほろ散らばる星のまたたきが綺麗な夜。
鳴いてるさざなみ、はじける手持ち花火、みんなの笑い声。
すぐ傍に感じる、彼の、体温。
「今日の歌、最高でした」
切り出したのは、私。
だって、黙っていられなかった。
今も、お腹の中があったかくて仕方ない。
最高の歌を、食べられたから。
「よかった」
圭吾さんは、少し焼けた鼻の頭をかきながら、照れ臭そうに笑った。
ライブ前、あんなに堂々と宣言してた人とは思えない、その仕草。
でも、そんなところが、いいと思う。