流れ星デイズ

「ところでさ……」


そう切り出した綾乃の表情からは、穏やかさが消えていた。


これから始まる話の内容が重大であることを予感させる。


そして、その予感は案の定、的中した。




「『Sir.juke』のデビュー日が決まったって」




少し落とされた声のトーンが、胸を刺す。


どういう顔をしていいか分からなかった。




「そう……」


私は努めて平静を装うけれど、綾乃は、じっと試すような視線を投げかけてくる。




本当は手を叩いて喜びたい。


でも、これでますます彼との距離が大きくなってしまうようで寂しさも覚えた。


距離なんて、とっくに開いていて、もう面影にさえ触れられないというのに。


自嘲と苦々しさを噛み殺して、私は笑った。




「おめでとう……って、伝えて」




たぶん、笑えていたと思う。




綾乃は、眉を下げ、
ふっとため息のような笑みをこぼしたあと、小さな声で言った。




「機会があれば、ね」