流れ星デイズ
診断
翌日、講義を終えた私は、川崎先生の元へ向かった。
帰りが遅くなるかもしれないので、ママには病院へ行くことを伝えてある。
私を送り出すとき「しっかり診てもらうのよ」と言っていたママは、心配そうに眉を下げていて、私は「大丈夫だよ」と笑ってみせた。
「お、髪切ったのか。
えらくすっきりしたもんだな」
久しぶりに会った川崎先生は、相変わらず清潔感の欠けた白衣をだらしなく羽織っていた。
「先生こそ床屋さんに行ってすっきりしたほうがいいですよ」
「こう見えても忙しいんだぜ。
親父さんを見てれば分かるだろ、この調子じゃ俺達まともに正月も迎えられそうにねえよ」
川崎先生は、けだるそうに肩を回しながらため息した。
そういえば、パパは最近研究室で寝泊まりしているのだとママが言っていた。
「大変なときに押しかけちゃったんですね……。
ごめんなさい」
「いや、いいってことよ。
ここにきたってことは何かあったんだろ?」
「はい、実は……」
私はバイト先で脚立から落ちたことを伝えた。
調べてみると、今朝着替えているとき見つけた腕と膝の他に、打った自覚もあり痛んでいた背中にも特大の赤黒いアザができていた。
「こりゃ結構強くぶつけてんな。
頭を打った覚えはないんだな?」
「はい、たぶん背中から落ちたので……」
「しかしドジだなあ、お前は。
なんで落ちたりしたんだ」
「それは、その……
急に、耳がどくどくいって……」
言い終えるまでに、えらく時間がかかってしまった。
「耳が何だって?」
川崎先生は、怪訝そうに眉をひそめた。