流れ星デイズ
私は人が苦手で、ましてや人混みなど尚更なことは先述の通り。
それを知っている綾乃は、発表会やライブの度に声をかけてくれてはいたけれど、強制してくることはなかった。
それなのに今回は。
「ね、ね、きてくれるよね?」
「……な、何を企んでるの」
「やだ、そんな恐い顔しないでよお」
それでも身構えて警戒を解かないでいると。
「……ごめん、ふざけすぎた!
分かったよ、白状するから!」
変わり身も早く、綾乃は手を合わせて頭を下げた。
「実はね、バンドのメンバーに沙妃を紹介したいの。
とってもいい人だから、きっと沙妃も友達になれると思って。
っていうか、なってほしいの」
まったく唐突な申し出。
なんでそんなことをしたいんだろう、と思った。
私はそんなの望んでない。
綾乃がいてくれれば、それだけでいいのに。