流れ星デイズ

宴の後



それから私は、自然な成り行きで、綾乃たちの打ち上げに参加することになった。




ライブ後の高揚感に、気さくなミュージシャン達。


満腹の幸せ、そして何より、夢のような声との出逢い。




楽しい。


人といるって、楽しい。




打ち上げを行う場所に向かう車の中で、信じられないけれど、私はみんなと声を出して笑えた。


こんなことは、小学校へ上がって以来初めてだったかもしれない。


彼は寡黙な人のようで、一言も発してくれなかったのは残念だったけれど、楽しさを追いかけるほうに私は夢中で。


この心は風船のように、ふわふわと宙に浮いていた。




でも、それも束の間。




風船は無残に割れた。


車が停まったのは、居酒屋だったのだ。




「綾乃……!」


すがるように呼んだけれど、気持ちの昂ぶっている綾乃は気づかない。


さっきまでの私と同じで、この体質のことなど忘れているようだ。




どうしよう、どうしよう……!




うろたえている間に押し流されて、生まれて初めて居酒屋という場所の敷居をまたいだ。


大所帯の私達はお座敷へ通され、男性陣は座る場所で大揉め。


「俺、沙妃ちゃんと綾乃ちゃんの間に座りたい!」


「いや、それは俺の席だろ!」


そんな争いを尻目に、仕切り魔の綾乃は出入り口の前を確保し、


「沙妃は私の隣!」


と、空いている座布団を叩いた。


おずおず座ると、右隣には綾乃、左隣には、壁。


「沙妃は私のだもんね!」


男性陣のため息に、綾乃は高笑いした。

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