流れ星デイズ

幸せの声



ついに梅雨入りした、涙空の下。


二度目のライブは始めから参加すると決めていたから、開場時間より前にライブハウスへやってきた。


雨を避けるため、大勢の人達が近隣の建物の軒下で開場を待っている。


でも最前列を目指す熱烈なファンの子達は、濡れることもいとわずに屋根のないライブハウスの入り口の前に並んでいた。


いよいよ開場すると、人々は押しつ押されつ小さな入り口へもぐりこんでいく。


それを遠目に眺めつつ、私は余裕を持って最後に入場。


ドリンク券も、ちゃんと買えた。


小さなことだけど、少し大人になった気分。




そして会場の後ろで、再会したトワさんと一緒に、すべてのバンドの演奏を聴いた。


情熱を持っていて、一生懸命で、音楽が大好きなんだって伝わってくる、みんなのステージ。


楽しそうなその姿を見ていたら、知らず知らずのうちにこっちまで笑顔になってしまう。


何もないところから音を紡ぎ出し、その音で会場を満たし、たくさんの人を酔わす。


この前控え室で会ったときの子供みたいな笑顔からは、想像もできない力を感じた。




それぞれのバンドに、それぞれの魅力がある。


どれが一番かなんて、決められないし、決める必要もないと思う。


でも、素人の耳にも、『Sir.juke』の演奏レベルが別格なのは明らかだった。


演奏、楽曲、メンバーの容姿まで、どこを取っても非の打ち所がない。




そんな中、よりいっそう飛び抜けて人を惹きつけるのが、圭吾さんの歌だった。

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