流れ星デイズ


どうして分かったんだろう。


綾乃がお茶しにきたとき以来、圭吾さんが話題に上ることは一度もなかったのに。


いつもはふんわりしてるけど、ママはこうしていろんなことを見透かす不思議な力を持っているみたい。




うろたえて身動きできない私を見て、確信を得たらしい。


「やっぱり、圭吾くんなのね!

ついに沙妃ちゃんにも彼氏ができちゃったのね!」


ママはお箸を置き、手を叩いて喜び始めた。


「彼氏じゃ、ないよ……」


「でも今日デートするんでしょう?

着ていく服は決めてるの?」


「まだ決めてないけど……」


「スカートよ。絶対にスカートにしなさいね」


「どうして?」


「可愛いからよ」


こうきっぱり言われてしまえば反論のしようがない。




私は、スカートが嫌いなのに。


この細すぎる足が、どうやっても隠せないから。




「スカートじゃなきゃ、ママは許さないから」


でも、ママは引かない。


仕方ないから、ふんわりした膝丈のワンピースに、くるぶしまで隠れるレギンスを合わせることにした。


「ほんとは生足がいいんだけど、仕方ないわね」


心底残念がっている、そんなママが私はときどき分からない。

< 79 / 282 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop