流れ星デイズ
上映開始時間は、まもなくだった。
人の入りは少なくて、私達は会場の真ん中を陣取ることができた。
プラネタリウムの椅子は、少し倒れていて深い。
ゆったりしたシートに沈むと、圭吾さんが尋ねてくる。
「星、好きなの?」
「大好きです」
「大好き、なんだ」
「はい」
うなずくと、会場が暗転した。
壮大な音楽と共に、天井に現れた夜空に惹きこまれる。
どこかから、小さな子供の歓声が聞こえた。
ナビゲーターの女性が説明してくれる知識は、私には新しいものじゃない。
でも目の前に広がる宇宙の光景は、本や写真じゃ味わえない迫力に満ちている。
その感動が、遠い記憶を呼び起こす。
幼い頃、一度だけのぞいた高精度の望遠鏡の向こう側。
丸いレンズに、潤んだ宝石のような惑星が浮かんでいた。
木星のしましまに触れそうだった。
あのときすごく不思議で印象的だったから、いまだに土星のリングに乗っかって遊ぶ空想を手放せない。
それはただのチリの集まりだって、大きくなった私はもう知っているのに。……