流れ星デイズ
練乳いちご
プラネタリウムが終わっても、私達の手は解けなかった。
天文台の施設を見て回っている間も、ずっと。
これまでは考えられなかった。
男の人と、手をつなぐ、なんて。
でも今は、この温もりから、大きくて繊細な彼の形から、離れたくない。
こんなに居心地がよくて、安心できる場所があったなんて。
知るまでは無いことが当たり前だったのに、知ってしまったら、もうそれ無しでは生きていられない気持ちになってる。
夢みたいだけど、夢じゃない。
彼はここにいて、私と体温を分かち合ってる。
同じ時を、一緒に生きてる。
一通り見学を終えると、時刻は夕方に差し迫っていた。
夜になれば天体望遠鏡が解放されて本物の星が見られるけれど、明日私は学校だし、圭吾さんはバイトで朝が早いらしい。
家までの距離も考えると、そろそろ帰ったほうがよさそう。
私は名残惜しく、つないだ手を離した。
「楽しかった?」
車に乗りこんですぐ、圭吾さんが尋ねてきた。
答えなんて、言うまでもない。
お昼に星を見て、初めての温もりを知って、大好きな声を食べて。
こんなに満ち足りたことはないよ。
こんなにも、満ち足りたことは……