流れ星デイズ
ここは山の中だから、レストランも何もない。
私達は天文台へ戻り、施設の中にある食堂に入ることにした。
「古いなあ……」
圭吾さんがぽつりとこぼした通り、食堂は隙間風が吹いていそうなほど寂れていた。
もともとこの天文台自体が、新しいものではない。
入り口にかかっている『氷』ののれんだけがやけに新しくて、物悲しい。
それでも、食事をしている一組の家族は、とても楽しそうだった。
四人掛けの席に向かい合わせで座って、圭吾さんはメニューを手に取る。
慣れない私は、こういう場所の仕組みも、よく分からない。
まもなく、よく太った中年の女性店員がやってきた。
「いらっしゃいませ」
水の入ったコップがテーブルに置かれる。
それだけで私はびくびくしてしまう。
「ご注文はお決まりでしょうか」
「ハンバーグ定食を一つ」
店員は圭吾さんに向かい笑顔で返事をし、メモを取る。
そして、今度は私の方を向いて、メモの用意をした。
それは自然なこと。
私の注文を待っている屈託のない笑みが、痛い。
何もいらないって、言わなきゃいけない。
でも、ただ座っているだけなんて申し訳ない。
どうしたらいいんだろう。……