流れ星デイズ
胸がもやもやする。
私は気持ちを整理できないまま、観客の波に乗って会場を出た。
そういえば、こんなふうに外に出たのは初めて。
スタッフが早く帰宅するよう促しているけれど、ライブハウスの周囲に留まる人が多いのは不思議な光景だ。
「今日もジューク最高だったね!」
「もう、圭吾が格好よくってたまんない!」
「ショウもクールでSっぽくていいよね!」
「雄樹も可愛くていいじゃん!」
聞き耳を立ててるわけじゃないのに、飛びこんでくるファンの会話。
『Sir.juke』って、こんなふうに言われてるんだ。……
「でも、やっぱり圭吾が一番カッコイイ!
今日こそ出待ちして声かけようよ」
「あー、私も出待ちしたいんだけどさ。
このハコって裏口がどこにあるのか分かんなくて、いつも捕まえらんないんだよ」
「えー、一度でいいから圭吾に会いたい。
どうにかなんないの?」
「難しいよ。ジュークってアマチュアなのにガード堅すぎるんだもん。
てゆーか、アンタ圭吾と会ってどうすんのよ」
「結婚してってお願いするの!」
「やだ、何考えてんの?絶対無理だって!」
「無理じゃないもん!
私、圭吾のこと本気で好きなんだから!」
顔が、上げられなかった。