穢れた愛
安上がりな伝票を持ち
会計を済ませるまで
山越の後ろに
立ち尽くしていた青柳
居酒屋を出ると
微かに会釈をする青柳は
言葉のない御礼を告げ
「僕の池は
乾涸びていて
魚が窒息しそうです」
虚ろな表情の
口角が意味深に
上がり
背を向け立ち去る
「池の水とは
愛情じゃないか」
咄嗟に湧き出た
曖昧な山越の解答が
呼止た青柳を振り向かせ
感情のない
挨拶に掻き消された
「さようなら」
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