穢れた愛
電話を切り
親の寝室のドアを
ノックする
返答のないドアを開け
寝室を覗くと
三面鏡の前で
化粧する母親が
顔を向けた
「ママ お小遣い頂戴」
コンパクトを鳴らし
鏡台の上に置いた母親は
鞄から財布を取り出し
五千円札を選ぶ
「無駄遣いしないでよ」
手渡された五千円札を
受け取った夕夏が
寝室から出てゆく姿に
母親は条件を課す
「ママ 遅くなるから」
安い口止め料
水を得た腐魚に
吐き気がする
不愉快な声