穢れた愛


携帯電話を開き
15時37分の
デジタル表示に
横瀬は舌を出し


「先に食いに行くか?」


振り返った明美は
所持品を鞄に押し込み


「もうすぐ来るよ
 横瀬さんの友達も
 来るんでしょ?」


横瀬は一瞬
不機嫌な顔を見せ
溜息をついた


短いオルゴール音が鳴り
メールを開く明美は
読み終えると
携帯を閉じ
デカイ鞄を持って
立ち上がる


「夕夏 着いたって
 迎えに行こう」


「今夜も泊まっていけば?」


寂し気な 義理堅い言葉に
笑みを漏らした明美


「帰るよ
 明日 学校あるし」


体裁よく断りを告げた



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