穢れた愛


「これでも
 絵里に気を遣ってんだぜ」


抱き締める腕で
絵里の躰を包み込み
愛情を体感として
注ぎ込む


纏わりつく
湖の中の藻を
剥ぎ取るように
柏崎の腕を避ける絵里


「どうかしらね」


水浸しの床から
立ち上がり
珈琲メーカーのスイッチを入れ


「珈琲 飲むでしょ?」


逃げられた魚に
気を取り直す柏崎は
椅子に腰掛け


「絵里を頂く前に
 一杯 頂こうかな」


冗談交じりの
笑みを繕った


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