穢れた愛
悲痛な声を上げ
泣いたのは
何年ぶりだろうか
離婚再婚を
繰り返す母親
襖一枚 隔てた部屋から
聴こえてくる
母親の喘ぎ声に
耳を塞ぐ日々
見知らぬ男達と囲む
麻雀稗の音と
酒と煙草の匂い
酔っ払った母の
高笑い
部屋に閉じ篭り
学校も行かず
必死で勉強をした絵里
ふざけた会話の中
笑った母親が
告げた言葉
「悪戯しないでよ」
母の忠告は
現実の言葉になり
押さえ込まれ
犯された絵里は
悲痛な泣き声を
発した記憶が
蘇り
携帯電話を握り絞め
「今から すぐ来て」
感情のまま
柏崎に電話を
掛けていた