4文字のあいしてる【完】
うん。行ってみよう。



会えなくて当然。
会えたらラッキーだよね。



「なんか、今日そわそわしてるね。そっか、明日だもんね、面接」

「お願い!!私を可愛くしてほしいの」


お昼ご飯を食べ終えた昼休み、いつも一緒にいる佳乃にそう言うと普段から大きい目がさらに大きく見開いた。


「ど、どうしたの?」

「お願い。好きな人に会いに行くの」

私の発言に益々目を丸くして、驚いた佳乃だったけれど後からちゃんと聞かせてよと言われ、自分の持っているメイク道具を取り出してすかさず、私に魔法を掛けてくれた。

会えるのならいつもより、少しは可愛い姿で会いたい。前の私なら電車に乗ることで頭がいっぱいだったし、外見なんて全く気にしなかった。

でも、今は少しでも可愛くなりたい。圭吾の目に少しでも可愛く映りたい。

「まさか、奏が恋をするなんてね。でも、確かに最近奏可愛くなったもんね」

デートのときのように鏡に映る自分は佳乃の手で別人になった。

「可愛くなってない。ないから頼んだんだよ」

「んーそうじゃなくて内面から出るオーラみたいなのかな。恋する乙女って感じ」


恋する乙女か。そうなのかもしれない。本当、今までの私では考えられなかったよ。


「行ってくる」


「今日の奏、可愛い。自信持って行っておいで」


下校のチャイムが鳴ると急いで教室を出た。窓から見送ってくれた佳乃に大きく手を振っていつもより早足で駅まで向かう。




電車に乗り込んで圭吾の最寄り駅で下りた。




ほんとにこんなとこで待ってるだけって無謀だな。





やっぱり電話してみようかな。
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