くじら喫茶
だが、一気に現実に引き戻される。

「おじいちゃん、頑張って」

そう言って立ち去る彼女に、私は苛立ちを覚えた。

一言余計なんだよ。

客に向かってなんだその言い方は!

だから客だって入らないんだ!!

何がくじら喫茶だ!!!

そんな名前の店に入る気なんて起こりっこねぇんだ!!!!

若い子を雇え!!!!!

心の中で唱える。

文句だけが浮かんでくる…

コーヒーをもう一度飲んで一息つく。

ゆっくり行こう。

もう急いだって仕方ないんだ。

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