くじら喫茶
それから数分後、ポケットの携帯が震えた。

誰だかわかる。

わかってるからこそ出たくない。

電源を切っておくべきだったと悔やむ。

だが一向に止む気配がない。

仕方なく出ると、予想通りの声。

「先生?やっと出ていただけましたか。もうすぐ到着しますので…どこにも出かけないで下さいね」

「いや、家にはいない」

そう一言だけ言って切った。

またかかってこないように電源をオフにする。

よし、これでもう大丈夫。

私をイライラさせる人間しか世の中にはいないのか…

そんなことを思いながらまたコーヒーを飲んだ。

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