白というイロ。
頃合い良く、机に置かれた電波時計を見れば、8:02。そろそろ学校に行かなくては。
「行くの?」
「ん、お花も届けたし。本当は昨日の放課後来るはずだったから、ちょっと枯れてるね」
名前も知らない桃色の花弁をなぞる。
「昨日までは、顔も包帯してたからさ。格好悪いじゃん」
「意外。そういうの気にするんだ」
「僕も、年頃のオトコノコ、だし?」
たかがクラスメイトの私なんかに、
さっきから気を許した顔を見せ過ぎではないだろうか。
今日までろくに話したこともなかったのに、そんな風に全然思えない。彼の周りの柔らかい雰囲気がそうさせるのか。何とも不思議だ。
「ふふ。案外楽しいね、お見舞いって」
「でしょう?帰りも来てもいいよ」
( 中庭の木蓮が鮮やかに通り抜ける、朝 )
横山 透 (15)
彼は、綺麗だ。そして、素直じゃない言葉ばかり好んで使いたがる思考の持ち主。