サキヨミ。【BL】
もう向こう側から彼の声は聞こえない。
響くのはブレーキの音と、誰かの悲鳴。
やっぱり俺は、止められなかった?
呆然と立ち尽くす。
そうしていると、また先の事が見えてきた。
さっき消えていきそうだった未来達が、再び浮かんでくる。
例えるのなら走馬灯のように。
死んでいく未来だからなんだろうか。
いや、そうじゃないだろう。
これから起こる事なんだろう?
そう自分に言い聞かせる。
俺は彼に何度も好きだと言う。
そして彼と色んな事をしている。
そんな事なら浮かんでくるのに、今すぐに彼が笑う姿だけはどうしても出てきてくれない。
それが見えたのなら、もう他の事は見えなくてもいいのに。