マイペースガール (加筆修正&おまけ追加中)
「あこちゃん?どうしたの、ボーっとして」
「あの、えっと、今日は帰ります…」
「え?」
テーブルに代金だけを置いて、走って店から出ようとする
「ちょっと待ってあこちゃん!どうしたの⁉急に!」
やだ、やだ…
澪奈センパイの声を聞きたくない…
ただひたすら走った…
走って走って澪奈センパイのもとから離れたかった
がむしゃらに走ってもどうしても考えてしまう
あの整った唇に、拓斗はキスしたんでしょ?
あたしにキスしなかったのはそのせいなんだよね?
あたしの自己中っぷりに困ってたんだよね?
拓斗は…
澪奈センパイのことが好きなんだね…
あたし、何やってたんだろ…
拓斗のためにバイトして…
そんなの、拓斗の迷惑にしかならないのにね。
プレゼント考えて…
そんなの、センパイから欲しいに決まってるのにね。
「はぁっ…はぁ……っ」
ここ、どこだろ…?
あ、バイトのお店の近くだ…
この道、拓斗と通ったな…
このときにはもう、拓斗の気持ちはあたしの側にはなかったんだね…
ずっと我慢してた涙が溢れてくる
「…っ…ふぇっ……ぅ……」
気づけなくて、
ごめんね…拓斗…