恋の華が舞う季節
「……家に帰ろうかな……」
きっと、心配してるだろうな。
今日は入学式だって事、知ってるだろうし、今頃探してるかもしれない。
キーキー鳴るブランコから降りて、ゆっくりともたつきながら、家へ向かう。
気がつけば、もう、夜が近い。
「結衣!」
振り向くのが恐い。
この声は、この声は――
「あ……」
「探した!
いきなり走るから……。
ってか結衣、足速ぇ~!!
追い着こうとして走ったのに知らない間に、消えてるから……。
焦った、正直な」
「何で……?」
「え?」
「何で、私のところに来たのよ!」
振り向かない私。
それに気付いたのか、私の正面に当たるところから、
「だから、好きだからだ。
離したくないんだよ。離してしまったら、一生、離してしまいそうで嫌なんだ」
何で……。
「呼べよ。俺の名前」
私がどんなに突き放しても
隙を見せないと思っていても
彼は、私の何倍もの想いで、私の殻を破ろうとする。
きっとこれからも彼はこのまんまなんだろうな。
だったら、“彼”は……
「――秦」
そういった瞬間、秦が私を抱きしめる。
彼の体温が、温もりが……伝わる。
ゆっくりと秦の後ろに手をおいた。
そしてまた離れると、秦ははにかんだような笑顔を見せた。
もしかしたら……――
私はこの時から、秦を好きになったのかもしれない。
でも確かに、この日から私は秦が“特別な人”になったんだ。
きっと、心配してるだろうな。
今日は入学式だって事、知ってるだろうし、今頃探してるかもしれない。
キーキー鳴るブランコから降りて、ゆっくりともたつきながら、家へ向かう。
気がつけば、もう、夜が近い。
「結衣!」
振り向くのが恐い。
この声は、この声は――
「あ……」
「探した!
いきなり走るから……。
ってか結衣、足速ぇ~!!
追い着こうとして走ったのに知らない間に、消えてるから……。
焦った、正直な」
「何で……?」
「え?」
「何で、私のところに来たのよ!」
振り向かない私。
それに気付いたのか、私の正面に当たるところから、
「だから、好きだからだ。
離したくないんだよ。離してしまったら、一生、離してしまいそうで嫌なんだ」
何で……。
「呼べよ。俺の名前」
私がどんなに突き放しても
隙を見せないと思っていても
彼は、私の何倍もの想いで、私の殻を破ろうとする。
きっとこれからも彼はこのまんまなんだろうな。
だったら、“彼”は……
「――秦」
そういった瞬間、秦が私を抱きしめる。
彼の体温が、温もりが……伝わる。
ゆっくりと秦の後ろに手をおいた。
そしてまた離れると、秦ははにかんだような笑顔を見せた。
もしかしたら……――
私はこの時から、秦を好きになったのかもしれない。
でも確かに、この日から私は秦が“特別な人”になったんだ。