恋の華が舞う季節
私、あの頃は、本当に……何もかもが恐くて、本気になって傷つくのが恐かった。


でも、今はこの指輪を見る度に、強くなれる気がするんだ。



「私もう絶対秦を、傷つけたくない」


「うん!
 その勢い、絶対これからも続けてね。

 そしたら……大丈夫よ」



「うん」


私は蜜柑の言葉が、なぜだか、違和感を感じた。


さっきも、葵も寂しそうにした顔と、何だか重なる。



直感で、嫌な予感がした。


けれどやっぱり、知るのが恐くて、逃げようとした。



その時――



「秦、引っ越すから。
 元々、長い間ここに入れるわけじゃなかったから、だから……結衣との時間を、最後の勇気を振り絞って、言ったんだと思うよ」



――引っ越す……?

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