恋の華が舞う季節
薬指にはめた指輪が、またあの時と同じように、音をたてて、落ちていく。


「転……校?」


「結衣? もしかして、聞いてなかったの?!」


聞いてない。


そんなの一言も、聞いてないよ。



「秦が、この町に来たのは……元々、親の理由によって来ただけ。
 それがもう、終わったから、この町からもうじき離れることになる」



「私っ……まだ何も、伝えてない……」



「結衣……」



せっかく掴んだ幸せを、また無くしてしまうの?



嫌だ。


嫌だよ。



何で、秦は教えてくれなかったの?


私が弱いから?



何で……
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