恋の華が舞う季節
屋上の扉を開くと、風が吹きさらしだった。


「……結衣……俺は、あと1週間で、転校する」



1……週間?


唐突すぎる。


1週間なんて、少ない、少ないよ。



「俺結衣に出逢う前はこんなにも、人を本気で好きなるなんて事無かったから、最初はどうやって、気持ち伝えればいいのかわかんなかった」


私の気持ちはどうすればいいの?



「でも、俺は結衣が好きだから。
 絶対帰ってくる。この町に居る、結衣の傍に」



「秦、無理だよ……」


「え?」



「後、1週間しかないのに……。
 そんな言葉、無責任だよ」



「俺等なら、大丈夫だろ?」



――“大丈夫”



さっき蜜柑が言った言葉と重なる。



「秦、無理だよ……」




もう、後姿ばっかり見つめて、後悔するのは分かってる。



それなら――


「……もう、戻ろう? 私達、出会わなかった事にして」



「何言って……」


「やっぱり私達は、触れ合わない方が良かったんだ」



「違うだろ?!」
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